へたれ分析「ゼビウス」

思いつくままに徒然に書いているだけなのでショボいです。
・・・ってか、思いつきじゃ分析じゃないですよね。反省。

■ 縦スクロール
縦スクロールを行うには技術的な革新が必要だったが、これを先に発表したのは「ミッションX」だった。実のところ、モニターを回転させているだけであるので、実際には90度に傾いたキャラクタを描画をしている横スクロールルーチンであることには注意すること。そういう意味では「スクランブル」の縦画面横スクロールというのは革新的であった。

縦スクロールシューティングゲームのほうが人気が出るのは人間は水平を見るよりは垂直を見るほうが楽であるため。それは人間の視差と視力の分担による差異が影響していると考えられる。問題を簡略化して説明すれば、両目と焦点を結んだ際の三角形の偏向率が画面の中心と画面の左右で大きく異なることの影響が大きいと考えられる。そして目の外側約15度の位置にある盲点が横スクロールの場合は敵配置の把握に影響を及ぼす。

もうひとつは横スクロールシューティングゲームの地形問題がある。ただし、縦スクロールシューティングゲームにも地形が存在するものがある点には注意が必要。
プロギアの嵐」のような革新的なゲームでは地形を排除するに至ったが、これは弾幕ゲームであることの影響が大きいため、例外と考えられる。

ゲームバランスを考えるとき、縦スクロールシューティングゲームはとっつき易い。そのため、人間の視覚特性と敵キャラの攻撃方法で裁量してスクロール方向を決めるのは重要である。


■ 空中・地上の撃ち分け
ゼビウスにおいてこのアイディアは、「スクランブル」から流用することになる。「ミッションX」では撃ち分けと言っても自機の高度によって自動的にショットが切り替わるだけであり、ここが操作性の悪さに繋がりヒットにはならなかった。

ゼビウスの作りがうまかった点は、照準の点滅により、そこにターゲットがあることをプレイヤーに通知することができている点である。この仕掛けをうまく利用したのが隠しキャラの走りとなる「ソル」の存在である。

照準に関してはファミコン版が劣悪な移植となっている。それは画面比が異なるために照準の位置が自機に近くなっている点である。これをカバーするためにファミコン版ではソルの出現速度がアーケード版と異なるが、それ以前の問題として、通常の地上物を攻撃するために自機をより近づけなければならないため、
実質的に難易度が上がっている。

従って、照準の位置はゲームバランスにおいて重要なファクターとなる。「レイストーム」のように画面上部に自機が達した場合に照準との距離を詰めるのか、
そういう点も思案すべきところとなる。


■ 敵テーブル
プログラムをすれば敵の出現順序はテーブル化される。ただし、これはギャラクシアン以前では存在しなかったデータ構造である点には注意したい(「スペースインベーダー」ではUFOの点数テーブルのみ)。

テーブルの引き戻しは「ゾルバグ」と呼ばれる敵レーダーの破壊、および自機の死亡により行われる。ただし、特定エリアにおいては特定の敵が出現するようイベントコントロールされている。これは後年になって、中ボスなどの登場で利用され、中ボスを早く倒すと中ボスが存在しうるであろう時間すべてに対して、点数の高いザコ敵などが出現するようになる。

また、テーブルの引き戻しは復活ポイントタイプのゲームで敵のテーブルを引き戻すべきところをリアルタイムにコントロールできるものになっている点で異なるだけであるが、この発想自体がエポックであった。プレイヤーの撃ち損じ、あるいは故意の撃ち損じによって難易度が適切に変化していく点は評価が高い。ただ、このプレイヤーの撃ち損じによるランク上昇は後年の上昇ゲームとも関連してくる。

なお、遠藤雅伸氏自身の「敵を倒す時間が早いほど強い敵が出現するようになる」との発言から、「キャラ回し」の存在を示唆している。これは「スターフォース」などでも有名な実装方法である。どの方法が適切であるかはゲーム性に依存するが、ほとんどの人は既存のゲームの形から選択するだろう。


■ 敵のアルゴリズムについて
「敵も死にたくないだろう」という発想の元、基本的に回避行動を取るようになっている。唯一の例外が収束エネルギー弾である「ギドスパリオ」「バックゾシー」。敵は慣性を伴う挙動をしているため、相手の移動速度が高いときに攻撃に出ると破壊できる。つまりはこれがゼビウス固有の遊び方「狙って撃つ」を実現している。

アドリブプレイが有効となるのはこの点だけではなく、敵の連射が乱数により途切れること、「ザカート」のようなテレポート系の敵が自機周辺に出現した際の「無抵抗な消失」などがある。これは後に縦スクロールシューティングゲームで利用される「封印」に通ずるものがある。事実、「沙羅曼蛇」の4面ボスでは、下から上がってくる敵を「食べる」ようなことができた。

ファミコン版のものは地上物の攻撃があまり途切れないこと、先に挙げたように照準位置が近いことがあり、全体に難易度が高いように感じられることがある。

後年になり、「スーパゼビウス ガンプの謎」が発売され、「ワイドブラスター」が装備されるとこの問題は解消されるようになるが、照準のサイズは照準の位置関係と共に重要なバランスを生み出すために熟慮が必要となる。


■ 当たり判定
基本的に見た目通りとなっている。これを突き詰めたのが同社の「F/A」であり、略したのが「R-TYPE」である。「首領蜂」は敵キャラでも略してしまい、ゲームバランスを大きく崩したが、弾幕を張ることでバランスを取ることに成功した。つまり、当たり判定の総面積で考えると同じくらいであるが、うまく分散に成功させた例であるとトポロジー的に考えることができる。

ゼビウス当時のゲームは自機のキャラサイズ=ショットのキャラサイズであったために、「バックアタック」などの技ができてしまっていたが、これは時代に特有な現象であり、現代ではプログラムで意図的に組み込まなければならない場合が多い。

これを回避するのは簡単で1フレームだけ当たり判定の出現を遅らせれば良いが、ここはゲームバランスに関連する。現代のゲームではショット時の発光を表現することによって出現を遅らせている(発光時にワザと強いパワーを持たせているものもある)。

当たり判定はゲームの印象を大きくプレイヤーに見せてしまうため、照準のバランスなどよりもまず始めに悩むべき点であると言える。


■ 面構成
縦横に大きなマップを利用するというアイディアはメモリが少ない時代にはコペルニクス的な発想だった。同年代の他のゲームでは細かいマップを継ぎ接ぎしながら、巨大なマップに見せる手法が利用されたが、単調に感じられるものも多々あった。

ゼビウスにおいて「マップの70%まで行けばクリアできる」というのは重要な攻略法となるが、その付近が判断付くように河を設置している点は見落とされがちである。これは後述する「予告キャラ」の存在にも通ずる。

エリア3などはナスカの地上絵を全部見せるのではなく、断片的に見せることによってプレイヤーの興味を惹きつけることに成功している。


■ 予告キャラ
エリア4ではアンドアジェネシスの出現前に1枚の「バキュラ」が飛来することで、初めてプレイするプレイヤーに対しても疑問、警戒心を抱かせることに成功している。

これはエリア9における「シオナイト」でも同様であり、シオナイトが去った後には「ガルザカート」がやってくるということをプレイヤーに憶えさせている。そのため、後半エリアにおいてもシオナイトが来ればプレイヤーは警戒をし、強敵の出現にも対処できるようになっている。これは「スターフォース」でも引き継がれており、「フェラー」の後には「ラリオス」が、「ラリオス」の後には「パーサー」が、という一連の流れを作っている。

後年になると、音楽の切替がこれを代替えするようになった。つまりはボスキャラの曲が流れればプレイヤーは警戒するように変化していく。しかし、昨今の平坦化した曲調では警戒しないような場合もあるため、コンポーザー各位は注意されたし。」