色つきアイテム

現在、一般的にとなっているパワーアップ方式のひとつに「色つきのアイテムを取る」というものがあります。この色つきのアイテムが最初に登場したゲームは一体どのようなものだったのか、歴史を遡っていくと意外なゲームでした。1987年に「究極タイガー」(1987, 東亜プラン)が発売され、リアルタイムに色が変化するアイテムが認知されたことは記憶に新しいところですが、色つきのアイテムが登場したのはそれより3年前に遡ります。そのゲームは1984年、ギャラガの続編として登場した「ギャプラス」(1984/4, ナムコ)です。

ギャプラスは「ブラスターヘッド」と呼ばれる一種のアタッチメントを敵から奪還することにより、ショットの性能が上がるなどの様々なフィーチャーが盛り込まれました。無論、ゲームの性格からショットに特化されたものではなかったため、現代的なパワーアップという概念とはかけ離れていますがプレイヤーが色により状態の変化を予測できる方式というのはかなり古くから存在することになります。

この「色つきのアイテム」は同年にカプコンより発売された「1942」(1984/12, カプコン)により、色つきのアイテムは認知され、多用な進化を遂げていくことになります。1942の発売された更にその翌年、横スクロールシューティングゲームの傑作「グラディウス」(1985/5, コナミ)が発売されますが、このゲームでは性能の異なるショットを切り替えて遊ぶことができました。ただし、パワーアップはゲージ制となっており、プレイヤーは常にゲージの状態を意識しながら遊ぶ必要がありました。また、ボタン3つという操作の難しさから、ゲージ選択を間違える人が続出しました。この時代のプレイヤーはボタン2つでも遊ぶのに精一杯だったためです。究極タイガーの操作はレバーと2ボタンという、ある種の原点回帰を遂げていますが、ボタン操作の複雑化へのアンチテーゼを提起すると共に、「ゲージ選択の間違い」という事象のために起こる、システム的な複雑化を見事に吸収したと考えられるのではないでしょうか。

現代的な色つきのパワーアップアイテムは「色が切り替わる瞬間」にプレイヤーへ選択ミスをもたらす、という大きな問題を抱えています。それはプログラムの些細な動作、タイミングの記述ひとつで1フレームずれたりすることにも関連しています。また年代を追うごとにアイテムの釣りエサ的な動きが過剰になり、「画面上方まで自機を移動させなければならない」とか「急いで取らないと画面外へ逃げてしまう」など、敵自体の難易度とはまた違うレイヤーでの難易度を作り上げてしまいました。そういうSTGが敬遠されるようになった要因を生み始めた点も見逃せないところでしょう。