ゴーデスの謎を解明してみる

一般的な翻訳内容には残された文字があ

前回、ギャプラスのアブノシップ変形を調査したのですが、これはギャプラスを調べるに当たって、たまたまゲームフリークを読んでみたら、ちゃんとした情報が世の中に出回っていないことに気がついたからです。今は年代的な流れでスターフォースを調べている*1のですが、よく考えるとこのヒエログリフの解読もそれほどしっかり行われていなかったのではないか、というのが今回の調査の出発点となっています。

一般的には「クレオパトラ、喜びが輝き、黒い大地を見る」と解釈されています。これは何かの攻略記事で読んだ記憶がありますが出所を憶えていませんでした。サイトクロールしてみたらファミ通.comの乱舞吉田氏の記事「第40回 ファミコン:その25(『スターフォース』中編) - ファミ通.com」において出所が書かれていました。どうやら私が憶えているものはスーパーソフトマガジンの記事のようです。当時は幼かったこともあり、ましてや雑誌の情報ですから理解できないは自分のほうだと思っていたのですが、今読んでもこの翻訳内容では「???」となりました。

一般的にブームになったりしなかったゲームというのは研究が浅いというのが私の見解です。ギャプラスの例でもそうですが、この情報ももしかして何か不足していることがないかと思って実際に自分で調べてみることにしました。ヒエログリフは興味があって本を買ったことがあります。しかし、それほど詳しいわけではありません。ただ、インターネットという豊富なリソースを使えば自分でも読めるんではないかな、という勘違いが今回の調査の出発点でした。

ここ数日を掛けてヒエログリフを読み解く作業をしていましたが、多分、かなり具体的な内容まで言及できたのではないかなと思っています。もっとも既に回答を知っている私が行ったことも、その具体性を高める結果になったことは否めません。この点には目を瞑っていただきたく。

ベーマガの翻訳は間違っていた?

解読をするに際して一番のヒントになるのが「クレオパトラ」です。ヒエログリフの中ではカルトゥーシュと呼ばれる囲み記号でフォラオの名前を囲うのがしきたりです。クレオパトラの名前もその囲みにあるはずです。画像を見てみるとそれらしきものが、1行目に描かれているのがわかります。クレオパトラ(7世)の名前はヒエログリフが最初に解読されたときに利用された名前で有名となっているのでヒエログリフを扱う文献なら大抵は載っています。そのカルトゥーシュと画像と比べてみると、それらしい並びになっていました。若干、位置が異なるようですがドットの制約と考えても良いかもしれません。

問題は2行目からです。ヒエログリフはいくつかの文字で意味を成すことがあるので、どこまでが単語になるのかを調べていかなければなりません。そこでヒエログリフに詳しいサイトhttp://www.jimloy.com を辞書代わりに使って解読を行ってみました。ここに書かれた辞書を引くと3行目はあっさり読めます。最初の鳥2匹目までが「See」、そこから下が「Black-land」となります。「see black land」つまり「黒い大陸を見よ」の意味です。黒い大陸とはすなわちエジプトのことで、これは黒っぽい紫色で描かれた砂漠地帯を示唆しているという推測は容易につきます。

ここまでで「Cleopatra ... see black land.」となり、残すは2行目だけとなりました。続けて辞書を引いていくと最初のほうで「shine, rise」などの意味を表現していることが解ります。では残りの部分は「喜び」なのでしょうか。画像で解明が用意な部分に書き込みをしてみましたが、「口」「川」「鳥と記号」「へんな記号」が残っています。前述した対訳のどちらもこの変な記号についてはしっかり確認をしていないようです。何か意味があるはずです。

もうひとつ気になったのが、「喜び」の部分です。前述のサイトを見ると喜びの文字は鼻を象った1文字で表現となっています。ドット絵の限界なのでしょうが、右側は繋がった図形ではなく別の図形と判断できました。四角い棒に3本線とは苦肉の策なのでしょうが、これは「パピルス」でしょう。そうなるとこれは決定詞となります。巻物として描かれているパピルスは「本」とか「書く」という意味があります。そうなると「記される」というニュアンスではないかと思います。こいう場合は英語の辞書も併用してみるといいと思い、鼻と本を結びつけるイディオムを探すと[have one's nose in a book]というものを見つけました。「本をよく読む」という意味のようです。ここまで読んだ時点でまだ文字がいくつか残っているので後は他の文字を調べてみればおのずと判断できそうです。ベーマガの翻訳内容は意図的に端折ったか、解析途中だったと断定できるでしょう。

解読結果

残った図形の洗い出しを重点的にやってみると、どうやら横長の四角い記号は川ではなく石でもあるようです。このとき閃いたのはクレオパトラの周辺にはシーラカンスがありますが、石はこのシーラカンスだと考えられそうです。そうなるとnoseは「突出した場所」という意味もあるので、このシーラカンスの先端が向いていることを示唆しているのではないかと予測が立てられます。何のためのシーラカンスなのか、というゲームデザイン面から考えてもヒントには織り込まれていても良さそうではないかと思えてきます。それを踏まえると「クレオパトラの輝きは石の先端で記される。黒い大陸を見よ」と意訳すればかなりのヒントとして有用です。

口の記号はtoなどと読めるのでどこへ輝くのかという次のセンテンスへの繋ぎと考えられます。あとは残りは鳥の図形です。これはパンの図形と鳥の図形のどちらを先に読むべきかで迷いましたが、クレオパトラを読むときに右上から読んだこともあって、これも右上から読んでみることにしました。その組み合わせで調べてみるとこれはthisやthatのシノニムのようです。またtheという読み方もできるようです。そうなると口の記号は部分を意味するpartでも良さそうです。記すの部分も示すという形に意訳すると「クレオパトラの輝きは石の先端部分で示される。黒い大陸を見よ」となり、かなり具体的に理解できる言葉になります。

ちょっと疲れて来たので発想の転換を図ってみました。ヒエログリフは外国語なので後ろから並べて解釈したらどうなるか、ということをやってみました。すると「黒い大陸を見よ、石の先端部分が示す、クレオパトラの輝き」となります。他にも今まで繋がっていた文字を切り離してみたりしました。すると次の「見る」という文字と繋げてみたら「石の先端部分が見ている」、つまり先端部分の向きを表現しているとも解釈できそうなことに気付きました。「石の先端部分が方角を示す」と読めそうです。他にも輝きを表す部分の他の読み方を試してみました。ここはshineの意味の他にriseという意味があります。陽が昇る、立ち込めるなどの意味です。そのような解釈では「クレオパトラが出てくる」とも読み変えることができます。

ここまでの結果をうまく日本語で繋がるように意訳すると「クレオパトラは黒い大陸にある石の先端部が示す方角に現れる」と解釈できそうな気がします。少なくとも「石」「鼻とパピルス」を含む文字は絶対に翻訳する場合に必須な文字だと思います。

*1:メガゾーンは意外と情報が得られにくいので後回し。なんとなく昔のベーマガに載っていたような気がしてます。