Wikipedia記事の質の低さ

先日書いた日記のキーワード繋がりで[id:zames_maki:20091009]のエントリを見かけました。STGの歴史を執筆していくに当たってMSXは避けて通れないのでいずれは突き当たるところでもあり、取り上げることにしました。このエントリではWikipedia:西和彦の編集を通して、Wikipedia運営側の問題点を鋭く指摘しています。実際、炎上したノートを見てみると呆れてしまいましたが、「Googleで調べれば自明」などWikipediaの方針を自分の都合の良いように解釈して押し付けている印象が否めません。まとめサイトだってもっとマトモな編集をしているでしょう。

ノートの経緯は上記エントリで解ったので、本文の履歴を遡って読んでみたらビックリしました。白紙化されて暴れるような分量じゃない! まともな文献を1冊当たればもっと分量は書けるでしょう。西氏くらいの人であれば10冊くらい文献を当たれば相当な量の文章が書けるはずです。適当に地元の図書館で本を借りて執筆するくらいの労を省いてはいけません。

この項目はWikipediaにありがちな「継ぎ接ぎに次ぐ継ぎ接ぎ」になっています。全体として体裁が整っていない状態です。「ありがち」になっている時点でWikipedia全体のレベルが推し量れてしまうところが悲しいところです。秀逸な記事を書くような人を除けば、一般的な記事を書く人はこのくらいのレベルだと思っても間違いないでしょう。

さて、手近にある文献で西氏の経歴が書かれたものを1冊取り出してみました。西氏がひとりのウィキペディアンに対して返信したメール(ノート内に引用されている)で指摘しているように間違いだらけでまったく正確ではありません。例えば、適当に同項目(2006年4月16日 (日) 13:45(日本時間)版)から引用すると「マイクロソフトに国際電話を入れ、たまたま電話に出たビル・ゲイツ」となっているけれども、文献を要約すると「ソフトウェア事業の立ち上げようと思い、マイクロソフト社に国際電話を掛けた。そして、社長が誰であるかを尋ね、取り次いでもらった」となっています。全然違いますね。

また、代理店契約を「要求」と書いてあるけれど「交渉」でしょうか。こういうところでもWikipediaの質の程度が知れてしまいます。この件に関しても再び文献をみると、この代理店契約交渉の際に契約条件が課されたそうで、条件をクリアするまではひとまず仮の代理店という扱いになったと記されています。そして、この条件をクリアする過程でNECのパソコンへMS-BASICが組み込まれるようになった、とあります。ここまで検証しただけで「全くのデタラメ」と言われても仕方がない状況になってしまいました。

Wikipediaはある程度の人がまず参照する媒体であることから書きたがる人が増えていますが、今回暴れた人はそういう輩でしょう。Wikipediaがどういうものか、周りからどのようなものとして見られているか、そういう点を自覚して執筆に当たらないとこのように迷惑を被る人が後を絶たない状況となります。結果、Wikipedia自体の信頼を地に落としかねません。