緊急回避の発展

日本ではエポックとされていた「1942」の緊急回避手段である「宙返り」は、黎明期に遡っていくと実は色々なゲームに採用されていることが解ります。有名なゲームでは任天堂の「スペースファイアバード」で採用されている「火の鳥」などがありますが、手段=行動で限定をしていくとまた複数の系統に分類していくことができます。


1942などのようにプレイヤー機に対して実際の行動に影響ができるものに関して時代を遡って探していくと、Exidyの「Fire One」で採用されている「潜水」などが存在します。しかし、これが世界初かというとそうではありません。実は黎明期で最も有名なゲーム「Space War!」でも緊急回避行動は採用されていました。そうです。「ワープ」という手段です。

このワープという手段は「Defender」など、かなり後期に生まれた作品にまで影響を与えるほどのものでしたが、これは「SFとワープという手段」が容易に結び付けられるアイディアであり、また受け入れられやすいギミックであったことに起因します。しかし、この「ワープ」という手段には非常に大きな欠点がありました。それは「ランダム性が高い」ということです。つまりプレイヤーがコントロールしきれない領域が存在するということです。これをプレイヤーの手中に収めたのが「潜水」であり、「宙返り」であったわけで、この一点の違いだけでエポックと呼ばれるか、呼ばれないかが分かれてしまったと言えます。

逆を言えば単純なプログラムで実現することができるアイディアでも、その表現方法や実現手法によってはプレイヤーには受けない場合がある、ということです。ではなぜSpace War!では受け入れられたのか、それはゲームが単純だったために、リスキーであったことが受け入れられたと考えることができます。これが現代で受け入れられないアイディアであるのは「テレビゲーム」が「ビデオゲーム」と呼ばれるようになったためで、「同じ行動をすれば同じ結果が得られる」という点がユーザの根底意識にあるためでしょう。つまり、ゲームの評価も時代と共に大きく変化していることを示唆しています。

これをツリーにするとこのような系譜が描けます(剣振りなど、かなり省略)。

+ワープ(Space War!)

+−+プロトントーピド(Starship1)
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| +−+メガクラッシュ(Exed Exes)
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| | +−+スマートボム(ファンタジーゾーン)
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| |   +メガクラッシュ(グラディウスIII)
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| +−+火の鳥(スペースファイアバード)
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|   +−+バリア(フェニックス)
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|     +−+ストックボンバー(オーダイン)
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|       +−+リフレクトフォース(ギガウィング)
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|         +−+属性変更(斑鳩)

+−+潜水(Fire One)
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  +−+宙返り(1942)
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    +−+降下(B-Wings)