ゼビウスに施された万全のコピー対策

バトルスもゼビオスも地元の電気屋の店頭、駄菓子屋によく置いてありました。ナムコマニアだった私は違いを楽しみながらよく遊んだものです。その記憶と「XEVIOUSを懐かしむ」から遠藤氏の発言を取り出して加味し、抽出してみました。


ゼビウスは作り込まれたゲーム性ばかりが取り沙汰されていますが、実はコピー対策までさえもしっかりやっていたことが特筆に値するゲームです。黎明期に作成されたゲームであるスペースインベーダーや同II、ストラテジーXなどの裁判ではまだプログラムの規模も小さいほうであったため、ゲーム構成から配点、登場キャラクタの動きまでを別紙にすべて羅列してもまだ何とかなるレベルでした。しかしゼビウスほど面数も多く、キャラクタも多くなってくるとなかなかそうもいきません。そこで遠藤雅伸ゼビウスの基板がコピーされたり、改変された場合に備えて巧妙な対策をふたつほど施しておいたのです。ひとつはプログラムの中へ、もうひとつはデータの中へ隠されました。

ひとつ目の仕掛けは「プログラムを実行させる」ことでチェックを行うのですが、それは「眼には見えない地上物を破壊する」というトリガが必要となっていました。この見えない地上物へブラスターを当てるとプログラムが実行されるようになっていましたが、まさか何の変哲もない森の中にこのような仕掛けがあることは夢にも思っていなかったでしょう。プログラムが実行されるとその判定結果がメッセージとして表示されます。*1 正規品のメッセージには作成した会社がナムコである旨、それからプログラムを行ったのが「EVEZOO」*2、つまり遠藤雅伸自身であることが表示されますが、正規品ではない場合には「これはデッドコピーしたである」という旨が書かれたメッセージが表示されるようになっています。正規品かどうかを見分ける方法はタイトル画面で表示されている「namco」の文字と、このメッセージの中で表示される「namco」の文字を比較するということで行われ、例えばタイトル画面から「namco」という文字を消して社名を隠すという単純な対処を行った場合に引っ掛かるようになっていました。

もうひとつの仕掛けは最終的に表示される画面の中に隠されていました。ゼビウスはエリアとエリアの間に必ず森が出現し、「ここでエリアが変わりますよ」ということをプレイヤーに伝えるようになっていますが、このエリアの切り替わりが行われる森の中に紛れ込ませて「namco」という文字が現れるようになっていました。それはエリア7から8の間の森の中にあるのですが、エリア7のマップの最後の最後の左端に設定されており、エリア7でミスしてエリア8へ行ったり、エリア8でミスしてやり直した際には表示されないようになっていました。そして、エリア7の最後でテラジが来るのもまた巧妙な配置です。

そのようなふたつの対策があるとは知らず、「ゼビオス」と「バトルス」というふたつのコピーゲームが作成されました。ゼビオスのほうは森の中に施された対策には気づいたのですが、メッセージのほうには気づきませんでした。一方、バトルスのほうはメッセージのチェックプログラムには気づいてメッセージを改造するということを行ったのですが、森の中のロゴには気づかず、見事にコピー品対策に引っ掛かったのです。ゼビウス不正コピー品に対して行われた民事訴訟で遠藤は法廷に立ち、これらの対策が施してあることを証明してコピー品の違法性を主張し、見事退けたのでした。

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*1:メッセージを表示させると10点加算される。X68000版は左側に隠されているため見つけられないプレイヤーも多かった。

*2:子供の頃につけられたあだ名。「エブゾーオ」と読む。