久々にやってみた

久々にやったらこれくらい

昨日の日記にしたウィザードの部屋を久しぶりに起動してみました。やはり詰めてやらないとトレジャーボックスの出し方を忘れてしまいますね。出せた、というより勝手に出たトレジャーはジェットブーツとハイパーヘルメット。それでも1発目で3万5千点オーバーというスコアですから、避けの技術はそこそこ残っているようです。

高得点を出すコツは、如何にフェイクのウィザードに惑わされないかという点でしょうか。ギルに直接攻撃できるのは上下左右に出現する8箇所のウィザード。残りはすべてフェイクです。これに目を奪われないようになればかなりスコアを伸ばせます。

それから、一見回避不可能に見える同時攻撃をうまく避けること。例えば、右3ブロック先に出現したウィザードに続いて、左2ブロック先にウィザードが出現すると避けるのは難しくなります。しかし、出現するフレーム数の感覚を調整してあるので、同時にギルに呪文が到達することはありません。これを避けるには身体でタイミングを憶えるのが一番です。

いやしかし、10万点カンストの達成者はなかなか出ないようです。もうちょっと難易度を調整したほうがいいのかもしれません。

ウィザードの部屋の見所

ダウンロードができなければ要望があり、ダウンロードができれば放置されるというツンデレ的な扱いを受けているとの噂しきりな「ウィザードの部屋」ですが、これはドルアーガファンなら思わずニヤリとしてしまうネタを仕込んであります。

例えば、トレジャーボックスの出現。グラフィックの中にはちゃんとトレジャーボックスのドット絵が入っているのですが、ギルがずっとフロアの出現位置から動かないので瞬間取りとなり見ることができません。

それからゴールドマトック。剣がしまえないので持っていても壁を壊すことができません。これ絶対ツッコミポイントだと思ったんですけど、気付いた人はほぼ皆無のようです。同様にクオックスもギルと座標が合わないので壁を壊して突進してくることはありません。

そしてハイパーアーマー。ハイパーアーマーで呪文を受けるとギルの体力が最低値になるということは常識ですが、ドルアーガの塔を深く知る人ならポーションで体力が一定値まで戻せばさらに呪文を受けられるということも知っていると思います。ランク18以降は6の倍数ランクで必ずポーションが出せるようになっていますが、これで体力を戻しながらハイスコアを狙うというのがこのゲームのポイントとなっているのです。

裸の女性が走り回るアクションゲーム

警官の目がイってるところが怖い・・・

以前の日記でもショウエイが開発した世界初の脱衣シューティング「SOS」を紹介しましたが、翌年には素っ裸の女性を主人公にしたパックマンのアレンジゲーム「ストリーキング」を開発していたようです。

このストリーキングというゲームは真っ裸の女性を操作して、追いかけてくる警官をかわしながらドットをすべて消していくというドットイートゲームです。SOSと同様、乳首までしっかり描かれているところにグラフィックデザイナーの意気込みが感じられます。またブラジャーの大きさや乳首同士の距離が広いことから推測すると、巨乳という設定なのかも知れません*1。30年前、既に現代のような時代が来ることを予見したいたのかも知れません。まったくもって恐ろしい先見の明と言えるでしょう(毒舌度120%)。

パックマンと大きく異なる点はドットの消すことが単なる手段となっている点で、本題はフルーツターゲットの代わりに出現する服飾品を集めていくというところです。言わば着衣ゲームと呼べるのではないでしょうか。

服飾品はパンティから始まり、ブラジャー、ワンピース、靴下、コートなどが用意され、ターゲットを取るごとにこれらを着ます。グラフィックも徐々に変化します。そして次のターゲットが出現するようになる、というわけです。個人的には洋服を着た辺りで警官に追いかけられる筋合いはないと思うのですが、それを言ってしまうとゲームとして成り立たなくなりますので目を瞑りましょう。

しかし、このように徐々にグラフィックが変化していくゲームに「ドルアーガの塔」がありますが、これよりも3年も前に同じことをしていたことは感嘆に値します。また、プレイヤーが靴下を取った直後から全体的にスピードアップするのですが、これまたドルアーガの塔に出てくる「ジェットブーツ」を概念を先取りしています。この時代にはパワーアップなどの概念がまだ希薄だったので、このようなフィーチャーを取り込んでいたと言う点には素直に驚きました。

ところで、パックマンと言えばコーヒーブレイクが有名ではありますが、残念ながらこのストリーキングには用意されていません。SOSで非常に凝ったコーヒーブレイクを用意していたショウエイだけに、まったく何ということでしょうか。ちょっとガッカリしました。

そう言えば、SOSを改めて調べてみるとパックマンより半年も先駆けてコーヒーブレイクというものを取り入れていることが判りました。SOSはナムコ販売のようですから、「パックマンへ繋がる何かがあったのではないか」と考えるのは穿ちすぎでしょうか。

*1:まかり間違ってもオレンジのドットは腋毛だと言い張ってはいけません。そうしないとヘソの位置にあるドットが秀樹もビックリのギャランドゥという設定になってしまうではありませんか!

ドラクエ製作者相関図を書いてみた

すべてはこのコンテストから始まった

ちょっとしたコネタです。

シューティングゲーム関連のトピックを扱うと「森田和郎と言えばアルフォス」になるんですけれど、やはり同氏は「森田和郎の将棋」が代名詞ですよね。すぎやまこういちがこのゲームに対してアンケートを出していたことがドラクエの音楽を担当するキッカケになったのは有名な話です。それを纏めて図を書いてみました。

当時のプログラムコンテストの中でも群を抜いた賞金額*1を掲げた「ホビープログラムコンテスト」は結果的に見るとドラクエという金の卵を生み出したとも言えますね。また、こうして図にしてみると人間関係ってのは面白いです。もちろん、時代のニーズに合うというか、タイミングが重要になります。

福嶋氏がENIXを興す前はパッケージソフトの販売をやろうと思っていたそうですが、既に日本ソフトバンクがその分野では先行していたので断念、そしてパソコンのゲームソフト方面へ転換をするわけですが当時は面白いゲームがない。「それなら面白いものを集めよう」とENIXを興して開催したのがこのコンテストだったわけです。

こういう方向転換を余儀なくされるのもタイミングとなるわけで、色々な糸が複雑に絡み合っている様は見ていると楽しいものですよね。

*1:当時最大規模

アルフォス高速化技術の解説

アルフォスはプレーンをうまく使った

アルフォスが具体的にどのような高速化技術を使っていたのか、前回はまりコンピュータを知らない人に対して参考文献の表現を元にして書きましたが、実際にどのようなテクニックだったのかを知りたい方もいるでしょう。うまく説明しきれないかもしれませんが、図を使って説明したいと思います。

「プレーングラフィック」「プレーンテキスト」などという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、アルフォスが利用したのは正にそれらの「プレーン」を利用したものです。私はX68kを使っていたのでプレーンテキストのほうでよくお世話になりました。

「プレーン」はR、G、Bの各色のデータごとに設けられたビットマップ領域のことです。昨今のグラフィックスではRGBのデータを同時に書き込みますが、プレーングラフィックは色別にデータを保持してるため、別々に書き込むことができます。*1そのようにして各プレーンへ描き込まれたのグラフィックはハードウェアが合成してモニタへ出力してくれます。例えば、赤のプレーンと緑のプレーンをそれぞれ塗りつぶしておくと、実際のモニタに表示されるのは黄色に塗りつぶされた画面となるわけです。

プレーンの合成はハードウェア側で勝手に行ってしまうので、そのままプログラムを組んでいってしまうと色がおかしな状態で表示されてしまいます。例えば、赤のプレーンに空中物、緑のプレーンに地上物を描いた場合、両者が重ね合わさっている部分だけ黄色で表示されてしまうという状態になります。そこで森田氏は「パレットチェンジ」を併用しているのです。

パレットチェンジを使って黄色を描画すべきところを赤で描画するように変更すると、上記の例で空中物と地上物とが重なり、黄色で表示されていた箇所が赤で表示されることになります。結果として空中物が優先的に表示されているように見える状態になるわけです。ただ、アルフォスでは空中物に3色利用しているということですから、空中物のキャラクタ同士が重なると色がおかしく表示されると推測できます。*2

もうひとつのミソが半ば強引に「透過処理」を解決させた点です。グラフィックスを使って独自に擬似スプライト機能をプログラムしたことがある方は、ピクセルデータを処理するのは結構、手間暇掛るものだということを良く理解していると思います。透過色を抜くために余計な演算もしなければなりませんが、プレーンの合成を行う際のビット演算の性質を使ってこれをうまく回避したわけです。そして、この処理を行ってくれるのがハードウェアですから、ソフトウェアで同じようなことを行うよりも数段速いことになります。

森田氏はこれらの技術を併せてビットデータの重みをキャラクタの描画優先順位に置き換えるテクニックとして編み出しました。ただ、このテクニックの欠点は利用できる色数が減ってしまい、拙いグラフィックになってしまう*3ことです。しかし、現代より「グラフィック<ゲーム性」という色濃かった時代ということもあり、市場に受け入れられたと考えることができそうです。

*1:もちろん同時に描画するプレーンを指定ことも可能です。X68kのプレーンテキストが正にそうです。

*2:何分にも実機を見たことがないので、ご容赦。

*3:逆に言えば、データがコンパクトになり少ない容量でたくさんのキャラクタを用意できる。

高速アルゴリズムが生んだゼビウスもどき

ゼビウス周りの加筆部分です。「アルフォス」は厳密に言えばゼビウスの「移植」ではありませんが、後にPC-8801のゲームに影響を与えるプログラムテクニックを考案して作成されたという点が重要だと思います。

とにかく、アルフォスは「人気があった」と紹介されている割には文献などへの露出が少ないゲームという印象を受けます。今回公開できるのはこれだけの分量しかありませんが、それでも文献蒐集には数ヶ月掛ってしまいました。オセロや将棋のプログラムで名を馳せているせいか、どうしてもその方面ばかりが紹介されています。

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Wikipedia執筆は難しい

以前は何か情報を提供できれば、とか思っていましたが、ゲーム系コンテンツを見ていると結構もめたりしていますね。記述内容も単なる「まとめサイト」のような出来になっている印象を受けます。

一番違和感を感じたのは、Wikipediaには「知っていることを書く」のではなく、「知らされたことを書く」というのが大前提であることを理解できていない方が多いことです。「私は知っている」「当時はそうだった」と話を展開してみても、それを証明することができなければWikipediaにとっては価値のない情報です。本来ならそれを裏付ける史料などを調査し、文献として挙げなければいけません。

例えば、スペースインベーダー(最終更新 2009年7月27日 (月) 07:42)の項目から例を挙げると、

なお開発時、西角はキャラクターをデザインするために、ブラウン管をペン状のデバイスライトペン)で直接描画する機械を発明した[要出典]。これが実は世界で最初の今日使われているコンピューター用ペンデバイスであった

実は1978年以前の文献を当たるとライトペンバイスを使った将棋のゲームが紹介されているものを見つけることができます。ですからこれは嘘の記述です。また、電動リフトについても本文にクエスチョンマークがあったり、「パワーゲート」へのリンクが張られていることから判るように、「日本初であるのか」すら怪しいです。また逆に、消されてしまったけれど、実際に文献を当たれば言及されているものもあります。

Wikipediaは注目度が高いだけ、役に立つ情報を執筆したいと思う人も多いでしょうが、だからこそ、編集においてそういう難しい部分が目立ってしまっているような気がします。いいものを執筆するというのは難しいですね。そういうわけでWikipedia執筆をやってみようという考えは今ではすっかりなくなりました。年単位の時間を使って文献を探し出しても、文献を探す努力をしない人と揉める可能性が高いのではまったく割りにあいませんしね。